太宰府 梅園菓子処 - 太宰府天満宮御用達の和菓子

       

コラム

「うその餅」に使われる食品添加物は安全!その理由と商品の魅力を紹介

カテゴリ: 作成日:2023/04/23

こちらの記事は管理栄養士でもありウェブライターでもある端場愛さんに記事執筆をお願いしました。

 

うその餅のふたを開けた瞬間飛び込んでくるのは、新緑を思わせるような美しい緑。ひとつ食べてみると、サクサクとした落雁のようなそぼろと、もっちりとした求肥、ほんのりとしたしその香りが口の中で新鮮な感動をもたらしてくれます。数多くある和菓子の中でも、中々に珍しい組み合わせではないでしょうか。

このうその餅は、菓子処梅園を代表する銘菓ですが、同店の菓子としては珍しく食品添加物を少量使っています。食品添加物を極力使わないのが梅園さんの特徴なのに、どうしてうその餅には入っているのでしょうか。この記事では、うその餅の由来を紹介するとともに、使われている食品添加物が本当に安全なのかを説明します。

 

うその餅とは

まずは、うその餅の由来や開発秘話からご紹介していきます。そもそも、うその餅の鷽(うそ)とは鳥の一種です。太宰府天満宮を建てる際、蜂の群れがやってきて、作業を邪魔していました。すると、どこからともなく現れた鷽が蜂の群れを追い払ったのだとか。この逸話がきっかけとなり、太宰府天満宮のご神鳥として崇敬される対象となったそうです。

 

この鷽にあやかった縁起のいいお菓子を作ったのが、梅園さんの創業者藤丸正氏。太宰府を代表するようなおもしろいお菓子を作ろうと試行錯誤し、現在の形になったそうです。うその餅には、通常は博多人形の土うそが入っています。お正月には伝統的なコシアブラを材料とした木うそが入っており、うその人形を集めるのを楽しみにしているファンも多いのです。

 

また、うその餅には必ず川柳が書かれた短冊が1首入っています。これは、かつてうその餅をテーマに開かれた川柳大会で読まれたもの。それらを短冊にし、うその餅の中にランダムで入れています。かつての文化人たちがうその餅にはせた想いを感じ取ってみてくださいね。

 

うそが真実に替わるありがたいお菓子!?

太宰府天満宮でも「うそを誠に取り替える」と願いを込めた鷽(うそ)替えというご神事がおこなわれています。うその餅を食べることで、身の回りに起きた悪いことを「嘘」にできるかもしれません。祈りを込めてうその餅を食べるのもおもしろいですね。

 

うその餅には食品添加物が使われている!?

さて、梅園菓子処さんのお菓子は、極力食品添加物を使わず、純粋に素材の味を楽しめるよう工夫されています。しかし、お菓子の種類によっては、どうしても少量使わなければならないものもあるのです。創業以来の菓子であるうその餅にも「ソルビット」「着色料」「香料」の3種類の食品添加物が使われています。では、なぜこれらの食品添加物を使わなければならないのか、詳しく説明します。

ソルビットは安全な添加物

うその餅にはソルビットという甘味料が使われています。ではソルビットとはどんな添加物なのでしょうか。

 

・ソルビットとは

ソルビットはソルビトールとも呼ばれ、じゃがいもやトウモロコシから作られる天然の糖アルコールです。砂糖よりも甘さが控えめで、口の中でひんやりとした感覚を生み出します。ソルビットは分解・吸収されにくい成分なので、砂糖よりも低カロリーなのが特徴です。ソルビットを使う目的には「雑菌の繁殖を防ぐ」「食品の保湿性を高める」などがあります。

 

・なぜうその餅にソルビットが必要?

うその餅の表面には緑色の粉がまぶされています。これは上南粉と砂糖をまぶしたものですが、そのままではさらさらの粉なので流れてしまいます。そのため少量のソルビットを粉に加えてしとりを与えているのです。緑色の粉がうその餅の上でしっかりと固まっているのはこのしとりのためです。

 

・ソルビットは安全

前述のとおり、ソルビットはじゃがいもやトウモロコシのでんぷん由来の成分です。さらに、厚生労働省の審査基準をクリアした食品添加物であることから、安全であるといえます。これまで40年以上使われていますが、健康被害なども報告されていません。

着色料(青1、黄4)は問題ない?

うその餅の緑を出すために、着色料が用いられています。青色1号と黄色4号の2種類が使われていますが、これらは安全なのでしょうか。

 

・青色1号とは

青色1号とは、青色に着色するための食品添加物です。青色1号は石油由来の成分で、化学合成によって作られます。こう聞くと「石油を食べるなんて体に悪そう……」と思われるかもしれませんね。しかし、青色1号は厚生労働省が許可した食品添加物です。さらに使用時には0.01%程度に希釈するため、摂取する量はほんのわずか。発がん性リスクはコーヒーよりも低いそうです。

 

・黄色4号とは

黄色4号は、黄色に着色するための食品添加物です。タール由来の色素であることから、こちらも安全性が心配かもしれません。しかし、黄色4号も厚生労働省が認可した成分です。うその餅に入れる際は、ほんのわずかな量しか使わないこと、うその餅を一度に大量に食べるとは考えにくいことから安全だといって差し支えないでしょう。

 

・天然着色料になる日も近い!?

2022年2月現在、うその餅の緑色は合成着色料によって表現されています。しかし、梅園さんの佐藤専務によると、近々天然着色料に切り替える予定なのだとか。天然着色料を使うことになれば、食品添加物が気になる人も安心して食べられるようになりますね。詳しい情報の発表が楽しみです。

香料は何を使っているの?

うその餅は、ほんのりとしその香りが漂うお菓子です。このしその香りを出すために、香料を少量添加しています。香料というと、いかにも科学的な物質が使われているように感じますが、こちらの香料はしその油をベースにしています。天然のしそが原材料なので、安心して食べられますよ。

まとめ

うその餅には、ほんの少量の甘味料と合成着色料、香料が使われています。しかし、どれも厚生労働省が認めた食品添加物であり、ごくわずかな量しか使っていないことから、体に影響を及ぼすとは考えにくいのです。たしかに毎日何十箱も食べればそれなりの影響が出るかもしれませんが、物理的も難しいですよね。一度に食べる量を考えると、さらに体への影響は少ないでしょう。

今でも安心して食べられるうその餅ですが、今後は天然着色料に切り替えるなど、より体にいいお菓子になるよう、研究を重ねているそうです。よりおいしく、体にやさしくなっていく梅園さんのお菓子から目が離せませんね。

 

相田すみ子(端場愛)さんのプロフィール

 

                       

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