太宰府 梅園菓子処 - 太宰府天満宮御用達の和菓子

       

コラム

考える方法を教えてくれる本

カテゴリ: 作成日:2020/11/01

仕事がらよく本を読みますが、先日読んだ本がとても面白かったのでシェアしておこうと思います。パン屋ではおにぎりを売れ 想像以上の答えが見つかる思考法という本です。ひとくちに言うと、モノゴトの見方や視点をリフレーミングする方法。それから考え方のコツをシンプルにまとめた本です。

 

常々、幼少期から「よく考えなさい」と言われて育つわけですが、では具体的に考えるとはどういうことかを教えてもらう機会は少ないかと思います。大学などで古代ギリシャの三段論法などを学ぶことはあっても、小中学校で考えるための方法論を体系的に学ぶことはありませんね。そういう意味でこの本はとても便利でためになる本でした。

 

昔、ビジネス書をおもに出版している会社の編集者さんと話したことがありますが、ビジネス書では電車の一駅区間で一節を読み終える程度の内容に編集をするのだそうです。忙しいビジネスパーソンが摘み読みしながらエッセンスだけを吸い上げやすいように工夫しているのだとか。そういう意味でも今回ご紹介するこの本はあっという間に読めてしまうのでおすすめでもあります。

 

詳しくはぜひこちらの本をお読みいただきたいところですが、一番重要な概念として、考えるとは広げること、深めることが印象に残りました。なるほど、ランダムに思考が切り替わるよりも、ひとつのテーマについて「広げる」「深める」というベクトルを与えてあげれば、ひとつの大きな思考の流れが生まれます。このひとつだけでも十分に使えるメソッドだと感じました。

 

もうひとつ印象的だったのは、考えることには論理的に考えることと非論理的に考えることがあるというもの。これまでの人生では思考はロジカルに論理的に進めることが重要だと思っていたのですが、著者は「いやいや、非論理的な思考が重要な場合だってあるんだぜ」と主張します。

 

さて、どういうケースがそれに当たるのだろうかと考えると、たとえばApple創始者のスティーブ・ジョブズが、iPhoneを生み出した時なんかはまさにこういう非論理的な思考だったのではないかと感じました。携帯電話全盛期の頃、音楽はみなiPodで聴いていました。論理的に考えるならば、携帯電話を進化させていき音声をクリアにしたり、小型化したりという方向で開発していくはずです。iPodのようなMP3音楽プレイヤーの方も、より広がりのある音質や音域を追求したり、より小型化していく方法を選択するのが論理的な考え方でしょう。実際、日本のメーカーは論理的に考えて正しい方向で開発を進めていったはずなのです。

 

ところが、ジョブスは「iPodと携帯電話を合体させてしまおう」と考えたのです。それどころか、「ついでにPCとも合体させてしまおう」と思いつき、ハイブリッドな端末を開発してしまったのです。日本国内初はiPhone3Gでしたが、もちろん私も買いました。ところが、頭がiPhoneに追いついていかないので、「これどうやって使いこなすんだろう」と思ったことを覚えています。つまり、ジョブスの非論理的な思考に私の脳が追い付いていかなかったのです。携帯の代替として使う感じでそれほど便利に使っていた記憶がありません。

 

しかし、どんどん新しいバージョンがマーケットに提供され、アプリも続々と開発されていくと、こんなに便利なものはないと感じるようになりました。ジョブスの非論理的思考に私の脳も追いついたというわけです。

 

さて、スマホの次にはいったい何が来るのか。GoogleはGoogleグラスなどを開発しましたが、それはスマホを論理的思考で進化させた方向でしょうから、『スマホの次に来るモノ』ではありません。ジョブスが敷いたこの路線から非論理的思考で飛躍したものが次の時代の主流になるはずです。

 

この本を読んでそんなことを考えました。梅園菓子処は和菓子屋ですから、社風としてこれまでの伝統を重んじる傾向があり、思考の方向性は前例踏襲かつ論理的な思考に偏りがちです。しかし、そこからいかにして非論理的思考で跳躍できるか。ここが次世代に会社を残していくために不可欠なことではないか。そのように考えて日々試行錯誤を繰り返しています。みなさんの会社ではいかがでしょうか。ともあれ、とても参考になる本でしたので、良かったら読んでみてください。

 

 

                       

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